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[181号] 2018年世界経済堅調も、トランプ大統領の動向に警戒必要

謹んで新春のお祝詞を申し上げます。

昨年中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

2017年は、企業の好業績や株高に沸いた一年でした。世界経済の回復を背景に製造業では輸出が増加し、企業の好業績を受けて設備投資が持ち直したことに加えて、公共投資が急増したことも企業業績を拡大しました。内需では、特に個人消費が堅調でした。国内需要の持ち直しを受けて、非製造業でも業績が改善しました。

日経平均株価については、22,764円で2017年の取引最終日の取引を終えました。年間の上昇幅は3,650円に達し、年間で19%上昇しました。年末の終値としては1991年以来26年振りの高値水準を回復したことになります。株高は日本だけのことではなく、2017年は米国を筆頭に、英国、ドイツ、インド、南アフリカ、アルゼンチンなど世界30カ国以上の株価指数が最高値を更新しました。

まったく実感はありませんが、景気は回復期にあるようです。

2018年も世界経済は堅調と考えられています。米国では大型減税が景気を支え、欧州も設備投資需要が拡大してきました。中国やインド、東南アジア諸国の経済も好調で、輸出も増加することが見込まれます。日本国内についても、2020年の東京五輪を控えて、都市インフラの整備などの公共事業や再開発が活発です。2018年はスタジアム建設やホテルの改装などのピークを迎えるため、特需が続きます。2018年の日本経済は、緩やかではあるもののプラス成長を達成し、景気の底堅さは維持されることが見込まれます。

2018年の景気見通しは、緩やかな回復基調が続くことが見込まれますが、その背景にあるのが米国への期待です。トランプ大統領の大型減税政策を柱とする税制改革法が成立したことにより、企業が稼いだ利益を設備投資や従業員への昇給に充てることが可能になり、米国経済が活性化するとの見方です。

一方で注目したいことが、大型減税の実現により財政赤字が増加し、過去最大の政府債務がさらに膨らみ、連邦債務の上限を撤廃することなどになれば、国債が格下げとなり、長期金利が上昇するリスクです。長期金利の上昇は、住宅や自動車の販売に影響を与えます。またトランプ大統領は、格差や貧困の解消を期待する人々の代弁者として登場しましたが、「税制改革の恩恵はもっぱら企業と富裕層」と評価する米国民が多く、税制改革が与党の共和党に逆風となっています。2018年11月には中間選挙を迎えますが、大統領周辺とロシアとの関係を巡る疑惑「ロシアゲート」の捜査が進むと、選挙の結果に影響を及ぼす可能性があります。もし与党共和党が選挙で敗れれば政権運営が滞るリスクが増します。

さらに北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、中国の企業債務(特にシャドーバンキングの債務)の削減・経済成長の鈍化、北朝鮮の核・ミサイル問題など世界経済にはリスクが潜んでいます。

日本では、2019年に消費税の増税が予定されており、消費税増税が個人消費にどのような影響を与えるか心配する面もありますが、日本国内の景気は、2020年まで右肩上がりが続くことも期待できます。問題は2021年の五輪後であると思います。特に中小企業は、景気減速の影響を大きく受けるため、足元の経済環境と会社の業績が堅調なうちに、設備投資などにより生産性を高めるとともに、内部留保を厚くし、経済環境の変化に備えることが必要な一年になると思います。

本年も何とぞよろしく、ご愛顧のほどお願い申し上げます。

(小島淳次)

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