今年も10月後半となり生命保険等の控除証明書も届くようになりました。特に今年は6月より定額減税が実施され年末調整業務が煩雑化することが予想されます。そこで今年の年末調整変更点をまとめてみました。
Ⅰ 定額減税による年調減税事務が追加されます。
6月から実施されている定額減税(月次減税事務)は年末調整で年調減税(年調減税事務)を行う必要があります。年調減税事務では改めて年末調整時点での定額減税額を算出し年間の所得税額を精算し未控除額があれば調整されます。
Ⅱ 住宅ローン控除の年末借入金残高証明が証明書方式から調書方式に変更されます。
令和4年度の税制改正で年末借入金残高証明が証明書方式から調書方式とする改正が行われました。従来の証明書方式では金融機関等から交付を受けた年末借入金残高証明書を勤務先に提出しなければならない事とされていましたが調書方式に変更されました。この調書方式とは金融機関等が税務署に納税者の住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書を提出し税務当局から納税者に住宅ローンの年末残高情報を提供する方式です。
このように調書方式に変更されますが調書方式に移行した金融機関等がごく少数であり金融機関側の対応が困難な場合は経過措置により暫らくの間は証明書方式も認められます。
Ⅲ 国外居住親族への送金関係書類に電子決済が追加されます。
国外で居住する親族について扶養控除等の適用を受けたい場合はその親族との親族関係書類や送金関係書類を勤務先に提出する必要があります。送金関係書類は国外で居住する親族の生活費などに充てるために支払った事を明らかにする書類で今年からは電子決済手段の国外移転の依頼をする場合の依頼書の控えも送金関係書類として認められる事になりました。
依頼書は内閣総理大臣の登録を受けた電子決済手段等取引業者が発行したものでその年において電子決済手段の国外移転をした依頼書の控えが対象となります。
Ⅳ 給与所得者の保険料控除申告書が簡素化されます。
令和6年分の保険料控除申告書から続柄の記載欄が削除されます。
- 生命保険料控除における保険金等の受取人欄にあったあなたとの続柄欄
- 地震保険料控除における保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名欄にあったあなたとの続柄欄
- 社会保険料控除における保険料を負担する事になっている人欄にあったあなたとの続柄欄
Ⅴ 給与所得者の扶養控除等申告書の提出が簡略化されます。
令和5年度の税制改正で扶養控除等申告書について記載すべき事項に前年の申告内容と変更がなければ異動がない旨を記載した簡易な申告書を提出する事が出来るようになりました。ただし簡易な申告書を提出できるのはチェックリストのいずれにも該当しない場合のみで1つでも該当すれば通常通りの申告書に必要事項を全て記載し提出しなければなりません。
令和7年分扶養控除(異動)申告書から適用されます。
(西村)