令和4年1月1日から適用される電子帳簿保存法の改正がされますが、その区分が大きく①電子帳簿書類保存(電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存)②スキャナ保存(紙で受領したり発行した書類を画像データで保存)③電子取引(電子的に受信をしたり送信をした取引データの保存)に区分されます。
その中でも強制となるため注意が必要な③の電子取引のデータ保存要件を満たさなかった場合の罰則規定である青色申告の取り消しについてご紹介をさせて頂きます。
(国税庁 電子帳簿保存法一問一答 令和3年7月の問42、国税庁 令和3年11月発表 お問い合わせの多い質問 補4 参照)
問42
電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存していますが、これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また、その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。
【回答】
令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。
なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。また、その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については、その電磁的記録や書面等は、国税関係書類以外の書類とみなされません。ただし、その申告内容の適正性については、税務調査において、納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。
【補足説明】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。
補4 一問一答【電子取引関係】問42
まとめ
いかがでしょうか。電子取引の全てを保存することは担当者にとって、大きな負担となりますが、違反の程度によっては、青色申告の取り消しもあり得るという状況で、どこまで実施という所が非常に気になるところです。問42回答では違反の程度を総合的に判断とあり、補4では一部のデータの保存となった場合に、「正しい情報によるものでその確認が取れるものであれば」とあり、直ちに青色の取り消しということはなさそうですが油断は禁物です。
将来の完全なペーパーレス化、生産性の向上を見据え、前向きに取り組んで頂ければと思います。
(川合)