令和5年12月14日に2024年度の税制改正大綱が発表されました。物価上昇が続く中、実質賃金を上げていくには賃金UPが不可避な状況となっております。こうした中で賃上げ税制がどのように拡充・強化されたか中小企業を対象にまとめてみました。
①適用要件(変更なし)
適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額×101.5%
②税額控除率(一部改正)
⑴給与等の増加割合が1.5%以上増加(変更なし)
雇用者の給与等の増加額に15%を乗じる
⑵給与等の増加割合が2.5%以上増加(変更なし)
雇用者の給与等の増加額に30%を乗じる
⑶教育訓練費の上乗せ加算(改正)
教育訓練費の増加割合が5%以上かつ教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合に税額控除率に10%を加算
(現行:教育訓練費の増加割合が10%以上で10%を加算)
⑷プラチナくるみん認定・プラチナえるぼし認定及びくるみん認定・えるぼし認定(2段目以上)の上乗せ加算
くるみん認定(※1)、プラチナくるみん認定(※2)、えるぼし認定(※3)プラチナえるぼし認定(※4)のうち、いずれかの認定を受けた場合、税額控除率に5%を加算
(※1)企業が次世代育成支援対策推進法に基づいた行動計画の策定・届出を行いその行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合「子育てサポート企業」として認定
(※2)くるみん認定企業のうち、より高い水準の取組を行った企業が一定の要件を満たした場合、優良な「子育てサポート企業」として特例認定
(※3)一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に認定
(※4)えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定
③最大控除率(改正)
最大控除率は45%(現行:40%)
④控除限度額(変更なし)
適用年度の法人税額の20%を上限
⑤控除限度超過額の繰越(改正)
5年間の繰越が可能となりました。(ただし、繰越税額控除をする事業年度において雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超える場合に限り適用できます)
(現行:繰越不可)
⑥適用時期
令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。
(西村)