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民事信託(家族信託)と後見制度【319号】

 多くの方は「家族信託」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

 その「家族信託」とは財産管理の方法の一つです。財産を持っている方が特定の目的に従い、所有する現預金、有価証券、不動産等をご家族に、その管理を信じで託す仕組みです。

 家族信託®の正式名称は民事信託となります。民事信託について少し詳しく説明させて頂きます。

 

 民事信託の基本的な仕組み井は、「委託者」が「受託者」と契約をして、財産の所有権を移転し、信託の目的に従い管理・運用・処分を任せてその利益を「受益者」が受け取る。

 ※「委託者」と「受益者」が同一の場合には贈与は発生しない。

 そのため、祖父(委託者兼受益者)が所有する賃貸収益不動産をご自身(受託者)となり契約をして管理・運用・処分を信託して、祖父が賃料を受け取る様にします。その後に祖父が認知症などにより判断能力が低下した場合でも、賃貸収益不動産の管理等に支障はなく、大規模修繕工事が必要となった場合でもご自身が不動産を担保として金融機関より資金を調達することも可能です。

 ※受益者は委託者と同一である場合が殆どです。

 

財産管理(現状~相続)に関するその他の制度

  • 管理の委任契約

 年齢を重ねるとともに身体能力が低下し、寝たきりになるなどに備え信頼できる親族等に財産管理を委ねる。財産の管理以外に、医療・入院・介護に関する契約など「身上保護」に必要な事務処理を委任する。

  • 任意後見契約

 認知症などにより判断能力が低下した場合の準備として、任意後見人契約を交わし将来の後見人となる方(任意後見人受任者)を指定することができます。

 任意後見契約には財産管理と身上保護の2つが含まれます。

  • 尊厳死宣言

 脳死状態などの身体が回復不能な状態となった場合に医療措置について「尊厳死プレビュー (新しいウィンドウで開きます)宣言書」で意思を表示することが可能です。

  • 遺言

 死後の遺産等を誰にどのように相続させるのかを指定することができる。

  • 死後事務委託契約

 家族間で意見(宗教など)が異なる場合等の理由で、葬儀や納骨を第三者に委任したい場合はこの「死後事務委託契約」を検討した方がよいでしょう。

 次回(2024年5月)は民事信託とその他の制度の比較してみたいと思います。

(新堀)

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