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取引先に対する災害見舞金等(法人税)【331号】

最近、連日の暑さから少し解放されて、ようやく秋の気配が感じられるようになった今日この頃、気が付けば今年も終盤にかかり、振り返ると全国で震災・台風・豪雨といったニュースが絶えない1年だったと思います。そのような中、災害の痛ましいニュースに義援金の寄付や、災害見舞金の支出をする方も多かったのではないかと思われます。今回は、そのような状況から災害見舞金に関する法人税の取り扱いの一部について、少しご紹介をさせて頂きます。(国税庁 災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取り扱いQ&A 令和6年1月 参照)

 災害見舞金の程度

[Q13] 交際費等に該当しないとされる災害見舞金とはどの程度の金額をいうのでしょうか。 取引先で発生した災害損失額の範囲内であれば金額の多寡を問わないのでしょうか。

[A] 被災した取引先に対する災害見舞金が交際費等に該当しないものとして取り扱われるのは、 それが被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程において支出される ものであり、慰安・贈答のための費用というより、むしろ取引先の救済を通じて自らが被る 損失を回避するための費用とみることができるからです(措通61の4⑴-10 の3)。したがって、法人がこのような災害見舞金を支出するに当たって、その取引先の被災の程度、取引先との取引の状況等を勘案した相応の災害見舞金であれば、その金額の多寡は問われません。 また、法人が災害見舞金を支出した場合に、取引先から領収書の発行を求め難い事情にあることも考えられますが、このようなときには、法人の帳簿書類に支出先の所在地、名称、 支出年月日を記録しておくことが必要です。

取引先の役員等に個別に支出する災害見舞金品

[Q14] 法人が、被災した取引先の役員や使用人に対して個別に支出する災害見舞金品は、どのように取り扱われますか。

[A] 法人が、得意先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用は、慰安、贈答のために要する費用に当たることから、交際費等として取り扱われます(措通61の4⑴-15⑶)。 また、法人が、被災した取引先の役員や使用人に対して個別に支出する災害見舞金品は、 個人事業主に対するものを除き、取引先の救済を通じてその法人の事業上の損失を回避するというよりは、いわゆる付き合い等としての性質を有するものであると考えざるを得ないことから、このような支出は交際費等に該当するものとして取り扱われることになります。 なお、「取引先の役員や使用人」であっても、法人からみて自己の役員や使用人と同等の事情にある専属下請先の役員や使用人に対して、自己の役員や使用人と同様の基準に従って支給する災害見舞金品については、交際費等に該当しないものとして取り扱われます(措通61の4⑴-18⑷)。

 

いかがでしたでしょうか。ここ数年をみると、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況が続く中、本日取り上げたものは災害に関する処理(法人)のほんの一部にすぎませんが、これを機会に災害関係の規定や処理等について、正しい知識を知って頂きたいですし、今後もお伝えして行きたいと思います。

(川合)

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