令和3年分(2021年分)の申告書提出スケジュールは緊急事態宣言などの影響で変更がなければ、受付開始が2月16日(水)、締め切りは3月15日(火)となっています(新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15日までの間、簡易的な方法(期限後に申告が可能となった時点で、申告書の余白等に新型コロナウイルスの影響により延長を申請する旨を記載)により申告・納付期限の延長を申請することができます)。以下は今年の申告の変更点などです。
住宅ローン控除の要件緩和と特例延長
住宅ローン控除を受けるためには取得した年(令和3年)の12月31日までに入居しなければなりませんが、新型コロナウイルス感染症による経済状況を考慮し一定要件のもとに緩和されます。また「床面積50㎡以上」の基準が「床面積40㎡以上」へ引き下げられ、「控除期間10年」が「控除期間13年」になるという特例が再延長(当初は令和2年12月31日までの入居)されています。
これらの特例を受けるには①契約の期限(注文住宅の新築は令和3年9月30日 までに契約、分譲住宅等は令和3年11月30日までに契約)と、②入居の期限(令和4年12月31日までに入居)を満たす必要があります。なお「床面積40㎡以上50㎡未満」の住宅については、控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円以下(「床面積50㎡以上」は合計所得金額3,000万円以下)でなければなりません。
ところで、住宅ローン控除については令和4年度から大幅に変更されます。適用期限が4年間延長(令和7年12月31日までに入居)されるものの、控除を受ける人の合計所得金額が3,000万円から2,000万円に引き下げられるとともに、その控除率が1%から0.7%に引き下げられるなどの見直しが行われます。
保育の助成等子育て支援の助成を非課税に
これまで、国や地方公共団体が実施する子育て支援に関する助成金等を利用者が受ける場合は一定の場合を除き所得税・個人住民税が課されましたが、保育を主とする国や地方公共団体からの助成等について、子育て支援の観点から非課税とする措置が講じられました。このため確定申告に盛り込む必要がなくなりました。
ベビーシッターの利用料に関する助成のほか、認可外保育施設等の利用料に対する助成、 一次預かり、病児保育などの子どもを預ける事業の利用料に対する助成が対象となります。
ふるさと納税の申告手続が簡素化
寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄附金の受領者が発行する寄附ごとの「寄附金の受領書」の添付が必要とされていますが、令和3年分の確定申告から、特定寄附金の受領者が地方団体であるとき(ふるさと納税であるとき)は、寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者(さとふる、ふるなび等)が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができることとされました。
押印が不要に
確定申告書の押印欄がなくなりました。令和2年12月税務関係書類の押印義務を原則として廃止することが決まり、令和3年4月1日以降、「認印」で済む税務関係の書類については押印義務が廃止されました。これにより、令和3年分の確定申告書および青色申告決算書からは押印欄がなくなっています。
上記のほか、医療費控除の申告手続を簡略化すべく社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会が提供する書面等が添付書類として認められる改正も行われています。
令和3年分確定申告に関連する改正は比較的小幅なものとなりましたが、令和2年分においては、給与所得控除の引き下げや所得金額調整控除の創設など様々な改正が行われており、令和3年分確定申告においても大きな影響を受けることになります。
(樋口)