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令和6年改正消費税事業者免税点制度の制限【335号】

年末が迫り今年も残すところあとわずかとなりました。例年この原稿を書いている時期には税制改正大綱が発表されており、その一部をご紹介させて頂いていましたが、今年は皆様ご承知のとおり自由民主党が少数与党となったことにより、いつ税制改正大綱が発表されるか現時点で不明な状況であります。

そこで少し古い話とはなりますが、今回は令和6年4月の消費税法等の改正についてご紹介をさせて頂きたいと思います。今年の消費税法等の改正は、事業者免税点制度の特例の見直しや、その制限についての項目が多い年でした。
上記にかかわる具体的な改正項目は、下記の通りです。(以下 国税庁 消費税改正のお知らせ参照)

Ⅰ国外事業者等における事業者免税点制度の特例等の見直し

  1. 国外事業者における「特定期間の課税売上高による納税義務の免除の特例」の見直し
  2. 外国法人が国内において事業を開始した場合の納税義務の免除の特例の見直し
  3. 「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」における判定対象者に係る金額基準の見直し
  4. 恒久的施設を有しない国外事業者における簡易課税制度及び2割特例の適用の見直し

Ⅱ金又は白金の地金等を取得した場合の事業者免税点制度等の制限

内容

課税事業者が、簡易課税制度又は2割特例の適用を受けない課税期間中に金又は白金の地金等の仕入れ等を行い、それらの仕入れ等の金額の合計額(税抜金額)が200万円以上である場合には、当該仕入れ等を行った課税期間の翌課税期間から、当該仕入れ等を行った課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、納税義務が免除されないこととされました。  また、当該仕入れ等を行った課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出できないこととされました。

【適用開始時期】令和6年4月1日以後に行う課税仕入れ等から適用されます。

 

いかがでしょうか。この改正点を今回ご紹介させて頂いたのは、その昔、自販機売上を活用した消費税の還付スキーム対策からはじまり、「高額特定資産」「居住用賃貸建物」と今も続く、還付スキーム封じの改正だからです。

具体的には金や地金の売買を通じて課税売上割合を上げることにより、本来できなかった非課税売上対応の消費税や、通常の方法では、控除が少ない予定であった共通対応の消費税の仕入税額控除を増やす(還付につなげる)という行為に対する対策でもあります。

インボイス制度の導入だけではなく、こういった還付スキーム対策のため改正が入り、消費税法が複雑化しています。

創設当初、3%であった消費税率が今では10%(軽減対象を除く)となり、税収に対する影響から、還付スキームが見逃せなくなってきたことに他なりませんが、「薄く広く課税する」という趣旨のもと簡便であった昔の消費税の時代が懐かしく感じられるのは私だけでしょうか。

(川合)

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