2020年実質GDPは4.8減
2020年の実質国内総生産(GDP)速報値が公表されました。
2020暦年の実質GDP成長率(前年比増減率)は▲4.8%と、11年ぶりのマイナス成長となり、2020暦年の減少幅(▲4.8%)はリーマン・ショックの影響で▲5.7%となった2009年に次ぐ過去2番目の大きさとなりました。
実質GDP成長率のうち、どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度(内外需別寄与度)をみると、内需が▲3.8%、外需が▲1.0%であり、内需が2020年の成長率を大幅に押し下げました。特にGDPの過半を占める個人消費が▲5.9%と、比較可能な1995年以降で最大のマイナス幅となりました。
実質GDP成長率と内外需要別寄与度の推移(暦年)
四半期は2期連続のプラス成長
一方、2020年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く季節調整値で7~9月期(前期)比で+3.0%となり、7~9月期の+5.3%に次ぐ大きさで、2期連続のプラス成長となりました。
実質GDP成長率の内外需別寄与度をみると、内需が+2.0%、外需が+1.0%であり、内需外需とも実質GDPを押し上げました。特に個人消費と設備投資が内需の押し上げに寄与し、個人消費が前期比+2.2%と、7~9月期の+5.1%に続いてプラスで推移したほか、設備投資も+4.5%と、3期ぶりにプラスに転じました。
四半期別の実質GDP成長率(季節調整系列)
2021年1~3月期は再びマイナス成長に
2期連続のプラス成長により回復基調にある実質GDPは、2020年10~12月期の年換算額が約542兆円となりました。大幅に落ち込んだ2020年4~6月期(約500兆円)から戻りつつあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大前のピークだった2019年7~9月期(約559兆円)には未だ届いておりません。
そして、足元の2021年1~3月期は、緊急事態宣言の発令と延長により、外食や宿泊などのサービス消費が大幅に落ち込み、3四半期ぶりのマイナス成長は免れない見通しです。
新型コロナウイルスの感染再拡大により、回復基調は2四半期で途切れてしまい、GDPは感染拡大前の水準に戻る前にマイナス成長に戻ってしまうことが不可避な状況です。
経済活動の再開が見込まれる2021年4~6月期は再びプラス成長に転じると思いますが、今後のサービス消費の回復は感染抑制とワクチン接種の進捗状況の影響を受けることになると考えています。ワクチン接種が広まる今年末あたりからは消費が持ち直し、日本経済が本格的な回復基調に向かうことを期待しています。
(小島淳次)