令和2年分(2020年分)の申告書提出スケジュールは、受付開始が2月16日(火)、締め切りは3月15日(月)となっています(国税庁は2月2日、期限を全国一律で4月15日(木)まで延長すると発表)。なお新型コロナウイルス感染症の影響による申告・納付期限の個別指定による期限延長が可能です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、期限(令和3年4月15日(木))までに申告・納付等することができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められることになります。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により期限までに所得税等の申告・納付ができなかった方が、令和3年4月30日(金)に申告・納付等ができる状況になった場合には、令和3年4月30日(金)から2か月以内(令和3年6月30日(水)まで)に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出していただければ所轄の税務署長が指定した日(令和3年4月30日(金)から2か月以内)まで期限が延長されます。
以下は今年の申告の変更点などです。
【給与所得控除の引き下げ】
給与収入から差し引く給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。また、給与所得控除額の上限額が改正前の220
万円から195万円に減額され、その上限額が適用される給与収入が850万円(改正前は1,000万円)とされました。
【所得金額調整控除の創設】
給与所得の計算について、給与収入が850万円を超え年齢23歳未満の扶養親族や特別障害者等を有する人や、給与所得と
公的年金等に係る雑所得の両方を有する人を対象に給与所得控除適用後の金額から所得金額調整控除額を差し引く制度が創
設されました。
【公的年金等控除の引き下げ】
公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合、公的年金等の収入から差し引く公的年金等控除額
が10万円引き下げられました(公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円超の場合は、上記の合計所得金額
に応じて20万円又は30万円引き下げ)。公的年金等控除額が引き下げられたうえ、公的年金等に係る雑所得以外の合計所
得金額によって控除額が変わる計算になります。
【配偶者控除等の引き上げ】
給与所得控除額や公的年金等控除額がそれぞれ10万円引き下げられたことに伴い、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除
がそれぞれ10万円引き上げられます。
【基礎控除の引き上げ】
基礎控除額の変更(38万円から48万円に10万円引き上げ)のほか、今まで一律に適用されてきた基礎控除額ですが、合
計所得金額が2,400万円を超えると段階的に引き下げられ、2,500万円を超える人は基礎控除を受けることができません。
【ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し】
婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする年齢23歳未満の扶養親族を有する一定の単身者についてひとり親控除
(35万円)が新たに設けられました(合計所得金額が500万円以下である等の要件あり)。ひとり親控除の創設に伴い、寡
婦控除の範囲と要件の見直しがされました(合計所得金額が500万円以下である等の要件あり。また、寡夫控除は上記のひ
とり親控除に含まれる。)。
【青色申告特別控除の改正】
青色申告者で、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除額が65万円から55万円に10万
円引き下げられる一方、次の要件のいずれかを満たす場合にのみ青色申告特別控除額を65万円とすることとされました。
①仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
②確定申告書、貸借対照表及び損益計算書を電子申告(e-tax)により期限内に提出すること。
したがって申告書等を電子申告(e-tax)を利用しないで書面で提出した場合は、①の要件を満たさない限り青色申告特別
控除は65万円から55万円に減額になります。
(樋口)